不登校は悪いことか?(1) 河﨑貴一

不登校は悪いことか?(1) 河﨑貴一

不登校や引きこもりには、いろいろなきっかけや原因がある。いじめや悪意、誤解、けんか、からだやこころの病気、家庭問題……。多くは、人間関係が災いする。


 私は“アラ還(アラウンド還暦)”になったいまでも、年に1~2回、うなされて目が覚めることがある。
 夢の中で、“眠りから目覚めた”私は、「早く起きなくちゃ。学校へ行かなくちゃ」と気持ちは逸(はや)る。が、体がまったく動かない。やがて、寝汗をかいて本当に目が覚める、というのがいつもパターンだ。

 私は学生時代、実験中に倒れてから、体調を崩した。体調が悪かったので、倒れたのかもしれない。
 叔母に紹介された開業医で診察を受けて、紹介されたのが原宿にある甲状腺の専門病院。診断名は「甲状腺機能亢進症(バセドー病)」だった。
 同じ病気で、同じ病院に、20代でお亡くなりになった某有名女優が治療を受けていたと、あとで知った。

 この病気になると、いつも微熱があって体がだるい。動くと息切れがするので、歩いていてもときどき休まなければならない。朝はもっとも体調が不良で、起きられない。
 体が必要以上にエネルギーを消費してしまう病気なので、おなかがすいてよく食べた。しかし、排便後はつねにひどい腹痛に悩まされて苦しんだ。すべて、この病気の症状である。
 のちに、「腸結核と症状が似ている」という疑いで、下宿近くの病院と東大病院分院にも入院した。
 こんな半病人のような状態だから、十代後半から二十大前半まで、日常生活も学校生活も乱れに乱れた。その結果、大学を中退せざるを得なかった。

 自分が、ともだちと同じように、学校へ行けないことは良くないとわかっている。働かないことも良くないとわかっている。それでも、どうにもならない。

 私は、自分自身の体験があるので、不登校や引きこもりになっている人たちの気持ちが少しわかる。他人からは、怠惰やずる休みなどと見えるかもしれないが、本人にとっては、学校に行くことや積極的な社会生活を送ることができないのだ。

 こんな生活をしていると、外出できないし、人に会って話したりできないので、どんどん自分のまわりの社会が小さくなっていく。
 いまでは、スマホやパソコンを使い、SNSを介して友人とコミュニケーションできるようになった。ただし、SNSにも良い面と悪い面があり、SNSが不登校や引きこもりのきっかけにもなる場合もある。

 不登校や引きこもりには、いろいろなきっかけや原因がある。いじめや悪意、誤解、けんか、からだやこころの病気、家庭問題……。多くは、人間関係が災いする。

当時、使用した登山靴とピッケル

 私がなんとか社会復帰できるようになったのは、趣味だった山登りを通じて友人ができ、八ヶ岳(長野県)山中の標高2000メートルほどのところにある山小屋で、清涼の空気を吸いながら、木こりのような労働や、宿泊客の料理を作る仕事などをして、体調を少しずつ回復できたからだと思う。
 社会生活を送るためには、社会にからだを慣らしていく“リハビリ”が必要なのだ。その意味では、山小屋での生活は最良だったと思う。だから、当時の山小屋の仲間には、とても感謝している。

病気を患った私が過ごした八ヶ岳の山並み

 もうひとつ理由があるとすれば、それは、自分が生きていくために働かなければならないという追い詰められた状況があったからかもしれない。

 社会に出てからは、人に接するときの要領の悪さや、学歴の不利などで、多くのつらさを体験した。それだけに、もし自分が結婚して子供ができ、その子どもが不登校になったときには、自分の人生をかけて、その子を立ち直らせようとこころに決めていた。
 その予感が的中して、子どものひとりが不登校になってしまった──。

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